ニュースリリース

“「ミャンマー情勢に関する提言」への懸念と反証ステートメント”をミャンマー・平和構築の研究者らが発表

【プレスリリース 2021/4/30】

元国連高官らにより外務省へ提出された提言(別紙 1)は、事実と異なる認識を、ASEANや国際社会へ提示してしまう危険性をはらんでいるとして、根本敬上智大学教授ら研究者7名が、2021年4月30日、懸念と反証ステートメントを発表しました。要旨は以下の通りです。

  • 提言は、国軍による一方的な殺戮行為が、国軍と市民との対等な対立であるという、事実と異なる前提がもとになっているため、読み手に誤解を与える可能性がある。
  • 政治的安定化の重要性を呼びかけながら、甚大な人権侵害が横行していることに触れていないのは、米国を中心とする他の自由主義諸国の姿勢から乖離している。
  • 今般の国軍による暴力は、日本政府がミャンマー国軍政府に行ってきた長年に渡る民主化支援策が効果を発揮できなかった点として重く受け止め検証するべきである。そうした中、日本外交への提案として、国軍へインセンティブを与えることを提示することは、問題と言える。
  • ミャンマーの民主化を支援するのであれば、2020総選挙で選ばれた議員が立ち上げた連邦議会代表委員会(CRPH)ならびに暫定政府である国民統一政府(NUG)との真摯な対話を行うことは至極当然のことであるが、提言では、これら組織には一切触れられていない。
  • 少数民族集団と国軍との間の「内戦」自体は、ミャンマー独立期から 70 年以上絶え間なく続いており、国軍による少数民族住民への虐殺や性暴力などの人権侵害が指摘されている。国軍が広範囲に市民を弾圧している中、反国軍側だけを一方的に「内戦の危機」の原因であるかのように描写する見方は、歴史認識として問題があると言える。
  • CRPHやNUGは、積年の課題であった民族間の軋轢を解消し連邦国家への一歩を踏み出している。民族の自治独立を求める少数民族側とビルマ族への同化による国家統合をめざす国軍との間の内戦が絶えなかった同国において、連邦国家としてまとまっていこうとすることの歴史上の意義を正しく認識することが必要である。
  • 事実と異なる認識にもとづく当該提言に沿って日本政府が外交政策をとることは、ミャンマー国軍の主張を鵜呑みにし、その行為をエスカレートさせる可能性がある。

当会は、ミャンマー少数民族が民主派と共闘し内乱を起こそうとしているという誤解が日本に広まりつつあることを強く危惧しており、そうした誤解を解くものとして、本ステートメントの内容を支持しております。添付ご参照のうえ、ぜひ、記事に取り上げていただきますよう、お願いいたします。

 

[添付資料]

・2021.4.30「ミャンマー情勢に関する提言」への懸念と反証ステートメント[PDF]

・【別紙1】2021.4.23 ミャンマー情勢に関する提言[PDF]

 

[連絡先]

ミャンマーの人々を応援する有志の会(担当:亀山、熊澤) jvolunteers.for.myanmar@gmail.com 

 

[ミャンマーの人々を応援する有志の会 概要]

草の根レベルで日緬交流を行ってきた日本人と在日ミャンマー人有志のネットワークです。代表を置かず、15名ほどのボランティア・協力者が、手分けして情報収集・発信しています。

 

本プレスリリース[PDF]


記者会見で「ミャンマー市民から日本政府へのメッセージ」を発表

3月26日、参議院議員会館講堂にて在日ミャンマー市民協会と、国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」が共同で記者会見を行い、日本外務省に質問状を提出したことを発表しました。ミャンマーの人々を応援する有志の会も意見表明を行い、「ミャンマー市民から日本政府へのメッセージ」を伝えました。

 

当会からは、ミャンマー市民からの声を聴きとり、まとめたメッセージとして以下の5点を発表しました。

 

  1. 2020年総選挙に不正がなかったこと、軍評議会に正統性がないことを発信してください
  2. 軍閥と日本企業の経済活動が軍の資金源となり、市民殺害のための銃弾となっています。民政復帰までは、軍に日本企業からお金が流れないようにしてください
  3. 日本政府と軍とのパイプは経済活動により築かれたものであり、説得できると思えません
  4. 1988年から軍を支持してきた日本政府が、今こそ、軍による統治と非人道的な行為を非難することに効果があります。軍とのパイプを断ち切り、市民側についてください
  5. 市民の立場にたつことができないならば、軍政になろうとも民政復帰しようとも、ミャンマー市民は日本企業と経済活動を行う気持ちにはなれません。日本とミャンマー市民の絆を未来につなぐために、市民側に立ってください

 

4月2日には、公開質問状への回答を確認する緊急院内集会が開かれ、そこでも当会からミャンマー市民の声を発言予定です。

 

【本ニュースリリースの問い合わせ先】

ミャンマーの人々を応援する有志の会

E-mail: jvolunteers.for.myanmar@gmail.com

 

(2021.03.26)