現地からの声

日本のメディアからは伝わりにくい、現地からの声をお伝えしていきます。

国軍がチン州のミンダッの街を空爆と重火器で制圧。市民を拘束して人間の盾に…。市民は山中へ避難。

ミャンマー西部チン州・ミンダッの街で今、何が起こっているのか。米国際メディアVOA のインタビューの日本語訳全文がミャンマーメモランダムに掲載されました。

 

インタビューでは、4/24、平和的なデモを続けてきた市民をミャンマー軍・警察が拘束。解放を約束するも実現されなかったことから、市民が猟銃で武装し銃撃戦へ発展。翌日4/25にチン国民防衛隊(ミンダッ)が結成されたことが語られました。

以降、軍・警察の弾圧から街を防衛していましたが、5/15にミャンマー軍がヘリコプターで空爆、重火器を使用し、拘束した市民を人間の盾にして市街地へ進行し制圧。これにより撤退を余儀なくされ、市民も山へ避難しているそうです。

 

ずっと平和に暮らしてきたミンダッ市民は山中への避難生活に慣れておらず、また雨期もはじまり、食料、シェルター、医療支援が緊急に必要とされています。

 

また、米英の大使館から国軍による過剰な攻撃へ強い非難がされているほか、国民統一政府NUGからも国際社会への支援が訴えられています。

 

チン国民防衛隊のドクター・ヨーマン(仮名)は「チン国民防衛隊というのは、小さな町を守るために作られた小さなグループだ。私たちは、きちんとした武器を装備しているわけではない。それなのに、あんな風に過剰な攻撃をするとは」と語り、平和的な抗議を弾圧するミャンマー軍から市民を守るため、やむを得ず猟銃を手に取っていること、平和な町を市民の手に取り戻すために、闘い続ける必要があること、これを理解支援してほしいと訴えました。インタビュー抜粋は当会Facebookページでも公開しています。(2021.05.18)

 

(写真:ミスユニバース世界大会で、ミャンマー代表がチン族の衣装に身を包み、衣装部門で優勝。軍に妨害され衣装を本国から持ち出せなかった彼女には、米在住のミャンマー人からチン族の衣装が手渡されたとのことです)

 


日本政府は、民政復帰ではなく軍とのビジネスを重視しているとのゲストコラムを、地元イラワジ紙が掲載

ミャンマー地元メディアであるイラワジ紙は、クーデター直前に、長らく軍と日本経済の間のフィクサーをつとめてきた日本人が、ミン・アウン・フライン総司令官と会合したことに言及。日本政府が民政復帰よりも儲けることを重視しているのではないかと指摘するゲストコラムを2月24日に掲載しました。

 

以下、イラワジより抜粋・仮訳 >>記事リンク
日本の「価値観外交」はミャンマーで座礁した

 

日本政府は誰が権力を握っていても平気な顔で協力しており、法の支配などをうたった日本の「価値観外交」に実体があるのか、それともブランド戦略なのか疑問である。

東京で在日ミャンマー人による大規模な抗議デモが行われ、民主化を目指す市民側につくよう政府に訴えたものの、日本政府は軍と協力する方向にあるようだ。

 

クーデターの直前、日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長は、アウンサンスーチー国家顧問とクーデターの首謀者であるミン・アウン・フライン上級大将を訪問し、日本からの投資を促進するための話し合いを行った。

渡邉氏は長い間、経済関係のフィクサーを務めており、軍部との密接な協力関係を築いてきた実績がある。彼をはじめとする日本の多くの人々は、ミャンマーにおける中国の影響力の高まりを懸念しており、経済関係の拡大を通じてそれに対抗しようとしている。

軍と日本政府にとって、彼は重要なコミュニケーションチャンネルであるが、彼が民主主義への移行を促進したり、ミャンマーの民主主義の後退を食い止めるための努力を支援したりした形跡はない。

 

日本のビジネス界は、ミャンマーをこの地域で最も有望なフロンティアと見なしており、政治状況にかかわらず、そこで稼ぐことを目的としている。

 

菅首相の外交アドバイザーである宮家氏は、軍へ強く出るのではなく、説得を提唱しているが、どうやって実現するのだろうか。

(2021.03.27)